精神科作業療法士として感じてきたこと
精神科作業療法士として約20年間、臨床の現場に携わってきました。
その中で数多く出会ってきたのは、「本来持っている力を発揮できずに苦しんでいる方々」でした。
向き合う中で強く感じてきたのは、問題は本人の能力だけにあるのではないということです。
環境や関係性とのズレによって、人の状態は大きく左右される。
同じ人でも、関わり方や環境が変わることで、表情も、行動も、そして生活そのものも大きく変わっていく——そんな場面を、何度も目の当たりにしてきました。
この経験から、「人は環境との関係性の中で変化する存在である」という認識を、深く持つようになりました。
子どもの頃の環境が、その後の人生を変える
臨床を重ねていくと、もう一つのことが見えてきました。
成人期に出会う多くの困りごとは、もっと早い段階——子どもの頃の環境や関わり方——によって、変わり得たのではないか。そう考えるようになったのです。
療育の現場に目を向けると、そこでも同様の状況がありました。
子ども自身の問題として捉えられてしまい、「できる・できない」で評価される場面が少なくありません。
しかし実際には、関わり方や環境が変わることで、子どもは大きく変化します。
子どもを変えるのではなく、その子が自然に力を発揮できる環境や関係性を整えること。
それこそが、本当に必要な支援だと確信しました。
Becomingを立ち上げた理由
Becomingは、その考えを実践するために立ち上げた事業所です。
「できるようにさせる」ことを目的とするのではなく、
「どうすればその子らしさが自然と現れるか」という視点を大切にする。
ここでは、お子さまだけでなく、保護者や関わる大人(先生)への支援も含め、環境全体に働きかけることを重視しています。
一人ひとりの違いを前提に、互いに認め合える関係の中で、その人らしく成長していく。
Becomingは、人を変える場所ではありません。
その人が本来持っているものが、自然と育っていく環境を整える場所です。
そしてその積み重ねが、将来の生活や社会参加へとつながっていく——そう信じて、日々の支援を続けています。